Yoshitaka Hirota is a composer, sound designer, and musician whose work you may be most familiar with from the Shadow Hearts series. The games became cult favourites, and anyone who’s played them will know how memorable their soundtracks are: a testament to the lasting power of music in video games. Today, he joins us to discuss his experiences on the Shadow Hearts series and give us some insight into how his career in the industry began. From Chrono Trigger and Final Fantasy VI through to EGGLIA Rebirth, Hirota’s diverse portfolio lends itself to some fascinating stories. Without further ado, let’s begin our deep dive into the works of one of my personal icons in gaming sound design.
RPGFan:弘田さん、こんにちは。この度はRPGFanのインタビューにご協力いただき、誠にありがとうございます。このような機会を与えていただき、光栄です。
Hirota:こちらこそありがとう。私の経験や、今私が考えていることをみなさんにお伝えできるのは私も嬉しいです。
RPGFan:では、冒頭からお願いします。ゲーム業界ではサウンドデザイン、エンジニアリング、作曲と幅広いキャリアをお持ちですが、どのような仕事をされていますか?音楽に興味を持ったのは何歳のときですか?
Hirota: 私はプロジェクトにおいて、全てのサウンドが調和した効果的な演出を手掛けたいと考えています。それは、音楽、サウンドエフェクトでの演出、ユーザーインターフェイスの為のサウンドエフェクト、ボイスなどです。それらの為に、企画の初期からsound specificationを考えて、開発スタッフ達と議論する必要があります。私のメインの仕事は音楽のための作曲、アレンジ、レコーディング、ミックスですが、sound specificationを考えて、サウンドエフェクトを作り、ボイスのエディットにも関わる機会があります。もし可能ならば、私自身がその全てを行いますし、作品の規模に合わせてチームを結成しそれらに挑戦する場合もあります。
9歳上の私の兄は私がSmall childの頃から私のそばでアコースティックギターを弾いていました。彼の部屋から聴こえるギターを聴きながら私は毎夜眠りについていました。ギターがあまりに自然に近くにありましたので、私は人間は全員大人になったらギターを弾けるようになるのだと信じていたほどです。それが身近にありすぎて、ギターに関しては、私は逆に熱心ではありませんでした。しかし、私が10代になってROCK Bassの重低音をmusic clubのベースアンプの真横で体感した時、その迫力に衝撃を受けました。そのかっこよさに魅了されて今までベースを弾き続けています。
そして私の兄は1980年代の初頭からコンピュータープログラミングを学んでいました。私は子供の頃から、彼の影響で音楽と同時にコンピューターにも興味を持ちました。日曜の朝から私は一人でよく電気屋に行きました。その店で展示販売されていた8bitコンピューターに雑誌に掲載されているベーシックプログラムのゲームを夕方までかかって入力して、実行してゲームをプレイして、帰るのを繰り返していました。やがて私は、自分でベーシックを使って作ったゲームを紙に書き出して、それを入力して遊んでいました。
RPGFan: サウンドデザインで最初に手がけたのはスクウェアの名作「ファイナルファンタジーVI」や「クロノ・トリガー」ですが、これらのプロジェクトにはどのように関わったのでしょうか?
YH: 私が21歳の時、私はベースの演奏やDJそして作曲とリミックスの仕事をしていましたが、それらの収入は少なかった。私はいつもお金がなかった。スクウェアに入社していた私の友人の光田康典氏が、クロノトリガーの作曲を担当することになり、そして私にスクウェアで効果音を作る仕事をしないかという連絡をくれました。ビデオゲームの仕事を始めるきっかけをくれた彼にとても感謝しています。
私はライブアライブの開発後半から参加して、その次にFF6を担当しました。それからクロノトリガーの効果音を作りました。その頃は、私の上司たちがサウンドの仕様を考えて、ディレクションをしていました。私は彼らが求めた効果音を作ることに専念していました。
SNESのサウンドシステムにおいて、一つの波形に対しもう一つの波形を加算させて変調する技術を使って単純な波形から複雑な波形を作ることを覚えました。サイン波とノイズを使ってガラスの割れる音などを作りました。その技術の応用でFF6の冒頭でTerraが獣のように叫ぶ声を作りました。それをさらに発展させ、いわゆるロボットボイス(ボコーダー)のような技を開発し、クロノトリガーのRoboの声を作りました。私はそれを実験で作ったのですが、それを聴いた私の上司が会議でRoboが喋るようにしようという提案をしてくれました。つまり最初は企画されていなかった私の音が採用されました。私のアイデアと技術でRoboが喋った、それがとても嬉しかったのを覚えています。たしかTerraの声も企画にはない効果音だったと思います。
そのあとも私は、スクウェアのたくさんのプロジェクトに参加しました。私は他の作曲や演奏の仕事もしていたので、スクウェアの社員ではなく、いわゆるパートタイムジョブとして、それらの全てのプロジェクトに参加していました。昼はサウンドエフェクトを作り、夜はバンドでベースを弾いたりDJをしていました。 パラサイトイヴにおいては、ホノルルのスタジオで働きました。それはとても良い経験でした。
RPGFan: 90年代後半にSacnothの創立メンバーになり、イギリスのウェールズを舞台にした唯一の日本製ゲームである「Koudelka」のサウンドを制作しましたね。実在する場所を舞台にしたゲームを制作するために、何か特別な準備をされたのでしょうか。
Hirota: 私はSacnothにおいては外注として契約していました。私はその会社の創立から開発に関わっていましたが、私はSacnothには所属せず、独立した存在でした。ですから私は創立メンバーとは言えないのかなと思います。
ともあれ私は、いろんな音を録音しました。人骨の上を歩く足音の為に、骨が付いた食肉をたくさん買いました。骨をよく焼いて乾燥させて、私のガールフレンドにその上を歩かせました。そして使わなかった肉は手伝ってくれた友人たちと食べました。それは美味しかったです。ゴシックでホラーなサウンドを作っていましたが、友達とたくさん笑い楽しみながら、たくさんの音を録音し編集しました。
私はクトゥルフ神話や、ダーク、ゴシック、ホラーな作品が昔から好きでした。たくさんの映画を観て小説を読んでいますので、それに必要なサウンドは想像がつきました。ただ楽しみながら私はそれらにふさわしいサウンドを作っていきました。
RPGFan: 『クーデルカ』は、サバイバルホラーとRPGの要素を併せ持つ、当時としては非常に斬新なゲームでした。BGMの代わりにアンビエントサウンドを使うなど、当時としてはかなり大胆な試みをしていて、非常にダークで独特な雰囲気を醸し出していました。ネメトン大修道院は、どのような経緯で誕生したのでしょうか。
Hirota: あなたたちが知っているように、それは画期的なムードの作品でした。私はそれに参加できたことを誇りに思います。しかし私はサウンドエフェクトにしか関わっていなかったので、それについての誕生の経緯はわかりません。ぜひ当時のSacnoth社長で作品の作曲家の菊田さんに尋ねてみてください。
RPGFan: クーデルカに続く「シャドウハーツ」シリーズは、歴史フィクションとしての側面が強いと思います。そのことは、作曲の選択にどのような影響を及ぼしましたか?それともアイデアの方向性を定めるのに役立ちましたか?
YH: 私はその為に中国の伝統音楽を勉強しました。しかし私は歴史に忠実な音楽を作ろうとは考えていませんでした。私は私がその頃好きだった音、作りたかった音を作りました。それが歴史フィクションとして大いに作用する事を知っていました。伝統音楽の勉強と、私自身が自由に感じて作ったサウンド。それらが混ざってシャドウハーツの音になっています。
過去から現在まで一貫している私のテーマがあります。機械やデジタルという非人間的なものと、人間の肉体を使った演奏などとの融合です。なぜかシャドウハーツシリーズには、それがとてもフィットしました。
RPGFan: 「シャドウハーツ」のストーリーの中には、現実の世界に根ざしているからこそ、より切実なものになっているものがありますね。お気に入りのキャラクターはいますか?
Hirota: そうですね。歴史が好きな人にはとても興味深いストーリーですよね。私もそうなのでアナスタシアの未来などいろいろ想像してしまいます。私の一番のお気に入りキャラは、ロジャーベーコンです。
RPGFan: 「ALICE」のような切ないキャラクターから、「The Name’s Grand Papillon」のようなほのぼのとしたキャラクターまで、印象的なテーマがいくつかありました。このようなキャラクターごとの個性的なテーマは、どのようなプロセスで作られたのでしょうか。
Hirota: その開発において、私たちはキャラテーマを作る予定はありませんでした。私は「悲しい」という曲を作って、それをいくつかのシーンに当てはめた結果、その多くがALICEがメインのシーンとなりました。その証拠があります。1作目のアジア編における密航船で麗々のシーンにも「ALICE」が使われています。それは曲名からイメージすると違和感があるかもしれません。それにはそのような理由がありました。他のキャラテーマもそれと同様でした。私たちはキャラの為ではなく、ユーザーが感じる感情について作曲しました。皆さんが知る曲名をつけたのは開発が終わった後、CDを作っている時です。
「The Name’s Grand Papillon」の作曲は伊藤賢治さんですね。最高の曲です。昨年、彼の作曲家生活30周年のコンサートにチェリストとして参加しました。シャドウハーツ以降も彼に誘われて彼のサガシリーズのアレンジによく参加しています。光田氏や伊藤賢治さんとはまた一緒にいい作品を作る機会が欲しいと思っています。
ところで、そのチェロは植松伸夫さんからプレゼントされたもので私は40代から演奏を始めました。大人になってから始める楽器もとても楽しいものです。
RPGFan: 「シャドウハーツ」シリーズは、1作目からダークで大人っぽいテーマが多かったのですが、「新世界」では、そのテーマを残しつつ、全体的に明るいストーリーになっていますね。3作でテーマを変えた理由は何でしょうか。
Hirota:うーん… 私はその本当の理由を知りません。しかし私がそれらの開発の中で感じた環境の変化があります。1作目はまるで友達が集まってふざけながら、でも皆がfranticallyに作っていました。すごく昔っぽいゲーム開発様式ですね。二作目から会社として体制も管理もしっかりとしてきました。三作目は、より管理する体制が確立され、その開発の途中で監督が交代しました。その為、変な部分、メチャクチャな部分が隠れて、エンターテインメントな部分を際立たせる演出とストーリーになったように感じています。
RPGFan: クーデルカと『シャドウハーツ』シリーズは、トーンやテーマの面で新境地を開拓していました。当時、齋藤さんたちが影響を受けたゲームは何でしょうか。
Hirota: 私は当時、KOWLOON’S GATEやBAROQUEが大好きでした。特にアレンジャーとエンジニアで参加してくれたBAROQUEの岩田さんの音楽が大好きでした。シャドウハーツで一緒にできて幸せでした。サウンドに関してはそれらの影響が大きいかもしれません。それからもちろんクーデルカの菊田さんの音楽です。私は聖剣伝説3にサウンドエフェクトで参加しましたが、彼の音楽本当に素晴らしいと感じていました。しかしクーデルカと『シャドウハーツ』は続編的ですが、監督も違うし方向性は異なると思っています。
シャドウハーツに関しては、私たちはゲームよりも映画に多くの影響を受けていたように思います。日本版の説明書にも掲載されていた「鮫肌男と桃尻娘」など当時の日本の映画の影響は大きいかもしれません。
RPGFan: 私はずっとシャドウハーツのOSTの大ファンです。「3 Karma」は「ALICE」「Deep in Coma」とともに私の心の中に特別な位置を占めています。サウンドトラックの中で個人的に好きな作品は何ですか?
Hirota: ありがとう。あなたがそれらを気に入ってくれて、ずっと聴いていてくれて心から嬉しいです。私が個人的に好きな曲は、「nde/near death experience」です。それから、「-qu-」。これはアンビエント+サンプリング+アジアの試みでした。「The Real Intentions」and 「Veronica Vera 」も大好きです。それから「Defeat And Death 」「Un gemito dell’estinto」。私は特にゲームオーバーした時、その感情に印象を残したいと考え、それらの曲をこだわって作曲しました。バトルが終了した時のリザルトサウンドも気に入っています。多くの曲を私自身も気に入っていますよ。もちろんボーカル曲も好きです。私の作った曲は全て私の子供なので、どの子供が特に好きかという質問に答えるのは難しいですね。
RPGFan: あなたはキャリアの初期からクラシックなRPGの音楽とサウンドデザインに携わっていますね。一番思い入れのあるゲームは何でしょうか?
Hirota: どれも私の人生の一部なので全てに思い入れがあります。しかし、一番印象的なのは、FF6です。私が初めてスクウェアの開発室を訪れた時、私は21歳でした。それは雪が降っている寒い日でした。開発室の窓からも雪が降るのが見えて、あちこちからTerraテーマが聴こえ、screenの中でも現実と同じように雪が降っていました。20年後、その作曲家の植松さんのコンサートツアーメンバーとしてベースを弾く為、私はベルギーのブリュッセルを訪れました。私が会場の近くの庭で、その日演奏するTerraテーマの楽譜をチェックしてしている時、雪が降ってきました。私は一気に21歳に戻りました。その気持ちがわかりますか?とても不思議な気持ちでした。
RPGFan: ご自身でもRPGをプレイされますか?もしそうなら、今遊んでいるゲーム、または最近遊んで楽しかったゲームを教えてください。
Hirota: 残念ながら最近はRPGをあまりプレイしていませんが、ひとつだけ、私が関わったEGGLIA Rebirthというゲームをしています。これはメインの作曲家が下村陽子さんで私も数曲の作曲をしています。効果音は私の会社で担当しています。Hirotanという私のような名前の精霊も登場しますよ。私がホリデーに好んでプレイするゲームは日本だけのゲームですがMomotarō Dentetsuなどの、ファミリーで遊べるパーティーゲームです。
RPGFan: あなたが手がけたゲームについて、プレイヤーに知っておいてほしいことがあれば教えてください。(その秘密を世に問うなら、Kulkoについて言及する良い機会かもしれません!)
Hirota: 私は私のバンドメンバーや親しい友人たちの一部からkulkoと呼ばれています。私のサウンドトラックにおいてベースプレイヤーでkulkoとクレジットされているのは私です。
クーデルカにおける、私の記憶ですが、ある部屋で、時計の音が鳴ります。私はその音にほんの少しずつ音程が上がる仕掛けをしたような記憶があります。数日間その部屋にいたまま放置するとおそらくその音程は最高潮まで音程が上がり、その後、すごく低くなって、また上がっていくはずです。私はそれは不気味なアイデアだと思いました。しかし途方もない時間がかかるため、誰もまだその実証をした人がいないと思います。それをする必要もないと思います。もし何も変わらなかったらごめんなさい。
私はこれを大きな声でみなさんに伝えたいです。ゲームサウンドは音楽や声優の仕事が印象的です。しかしそれらと同じく、サウンドエフェクトやボイスエディットもみなさんを喜ばせるために試行錯誤しています。音楽、効果音、ボイス。すべてのサウンドは同じ素晴らしい才能と情熱によって作られていることを理解してほしいです。
あとはなんだろうなぁ。たくさんのゲームごとに話したいことがあるはずですが、話す機会がないと、私の記憶が失われていきます。それらは何十年も前の話ですから。それは悲しいことです。多くの開発者がそうだと思います。皆さんは、好きな開発者にSNSを通して頻繁に多くを問いかけるべきです。それがビデオゲーム文化を未来の世界に残すことになるでしょう。
RPGFan: ゲームのサウンドデザインや作曲に貢献するほかに、あなたはThe Earthbound Papasというバンドのメンバーでもありますね。その時のエピソードがあれば教えてください。特に他の作曲家と一緒に演奏できるのは、作曲とはまた違った良さがありますね!バンドに参加して演奏するのは、とても楽しいです。
Hirota: そうですね。Earthbound Papasは、植松さんの楽曲を演奏するために彼自身がバンドメイトを集めたバンドです。私たちはアメリカ、欧州、アジア、たくさんの場所に行きました。それはたくさんの楽しいエピソードやアクシデントがあります。それらは本当に素晴らしい経験でした。それらはきっと分厚い一冊の本になるくらいの話でしょう。私が印象深いのはシンガポールでのライブの日です。その日は私の誕生日でした。植松さんの号令で、私のために何千人もの人がハッピバースデーの歌を歌ってくれて、とても感動しました。いろんな国で多くの人に演奏を聴いてもらえて、一緒に盛り上がれて幸せでした。早くCOVID-19が終息して再び世界を自由に行き来できる日を望んでいます。
RPGFan: 未来に向けて、今後期待できるプロジェクトがあれば教えてください。(漠然としたものでも、直接的なものでもOKです。
Hirota: 私は今、きっと多くの人々に楽しんでもらえるいくつかのプロジェクトに関わっています。その発表は少し未来になるかもしれませんがお楽しみに。その頃に合わせて私のソロプロジェクトも皆さんに聴いて頂く為に進めたいと思っています。また私の会社でも多くのプロジェクトに関わっています。もしこれを読んでいるあなたが開発者で、良いサウンドを求めているなら私たちに連絡をください。そしていろんなプロジェクトの準備が出来次第、みなさんにお知らせしますので、よかったらSNSなどで私をフォローしてください (Twitter)。もちろんまたこのような記事で皆さんにお伝えすることも楽しみにしています。
RPGFan: 弘田さんにインタビューできて本当によかったです。ありがとうございました。最後に読者に一言お願いします。
Hirota: 私も昔のことを思い出してとても幸せな気持ちになりました。ありがとう。 最後まで読んでくれてありがとうございます。あなたがかつて好きだったゲームはあなたの人生における宝物でしょう。
そして、それらをプレイすればあなたはいつでも過去のあなたにもどれるでしょう。新しいゲームも古いゲームも同じように楽しんでもらえたら私はとてもハッピーです。私は開発の最後までが仕事ですが、その後皆さんがプレイして何かを感じて、初めてゲームは完成します。そしてぜひその感じた気持ちをSNSなどで私たちに伝えてください。それが私たちをハッピーな気持ちにさせてより面白い作品を作る力になるでしょう。
私たちは今、困難な時代に生きていますが、くじけず力強く生きていきましょう。私たちが愛するビデオゲームや音楽とともに。